2016年に購入したアウトドアギアの中でも、最も個人的評価の高かった軽量ウインドシェル、Teton Bros.(ティートンブロス)のWind River Hoody(ウインドリバーフーディ)のレビュー。

3シーズン対応の準・肌着としてのウインドシェル

ウェアの生地が、本当に絶妙な厚さでできている。夏の高山の稜線や、春秋の低山でしっかりと風をしのいでくれる。
しかも暑がりな僕は季節問わず上着を着ているとすぐオーバーヒートしてしまう体質だけど、”Wind River Hoody”は通気性が抜群で、登り始めから稜線、頂上に至るまで終始快適に過ごすことができる。

防水ではないので雨が降ったら雨具を着込まなければいけないし、停滞時に保温して体温を維持してくれる訳ではない。だけど「ちょっと肌寒い時に簡単に羽織れる」上着がこんなに重宝するとは思いもみなかった。
汗や小雨で濡れたとしても超速乾なので、サラサラな着心地がずっとキープできるのも嬉しい。

これ一枚で対応温度の幅がとても広く、ほとんど2016年の登山には出ずっぱりだった。
7月の蒸し暑い奥武蔵の低山でもTシャツを着るのと変わらない感覚で歩けたし、9月末の北アルプスでは(長袖の肌着を着た上で)パラパラする程度の小雨をなんとかしのぎ、顎まで引き上げられるジッパーとサムホールのおかげで強風でも問題なく身体を守ってくれた。春夏モデルとはいえ、レイヤリング次第で秋でも全然いけてしまう万能性がある。

圧倒的な軽量・携帯性

実測でわずか100g、非常に軽量でしかもパッカブル。短パンのポケットに入るサイズまで小さくたためる。
登山やトレッキングではもちろん、自転車旅行など荷物が少なければ少ないほど良いアクティビティにもぴったりだと思う。
個人的には山と道 miniと一緒に運用するのが好きで、ウルトラライトかつシンプルなスタイルで山を歩くのが楽しい。

唯一のマイナスポイント

1シーズン通して使ってみて、いまだに「微妙だなぁ」と思うのは、ポケットが右背面にある1つのみ、ということ。
このウェア自体を折りたたむ収納ポケットを兼ねているのでこの位置なのは仕方ないかもしれないが、逆に収納以外に使い道がない。ザックを背負ってしまうと潰れてしまうしね。
胸かお腹のあたりにポケットが1つ欲しかった。

競合アイテムと比べて

かの有名なPatagoniaの”Houdini”やHOUDINI(ややこしいがこちらはメーカー名)の”Tag Along Jacket”あたりが個人的に比較検討したアイテム。
前者の”Houdini”は定番すぎるのと、生地がスケスケすぎて躊躇していて、後者の”Tag Along Jacket”は実際に試着してみたのだけど、典型的日本人体型の僕にはブカブカで、シルエットがイマイチだった。

そんな中で”Wind River Hoody”は、シンプルな見た目と機能性、着心地、価格が高い次元でバランスが取れていて購入の決め手になった。

注意点

風を防ぎつつ適度な透湿性を保ちストレッチ性も確保するこの生地の絶妙な薄さは、耐久性がある程度犠牲になっている。
雨風をしのぐために立ち寄った槍ヶ岳山荘で、休憩室のストーブにあたっていた時に、うっかりして胸の部分を焦がして穴を開けてしまった。実用上ほとんど問題ないとはいえ、油断した一瞬の出来事にけっこう凹んだ。


軽量ウインドシェルの分野は様々なメーカーが製品を出している中で、この国産メーカーは話題になりにくいとは思うけど、着るたびにあらためて名品だと思う。Teton Bros.(ティートンブロス)は他にも意欲的な商品をいくつも出しているので、今後も定期的にチェックしていくつもり。

ちなみに同じシリーズのロングパンツWind River Pantもラインナップされている。
着心地的には、Houdiniの名品”Swift pants”みたいな感じかな?と想像している。いつかは買ってしまいそう。