日本の元号が平成から令和に切り替わり、ドイツに住んでいるとその影響を感じることは少ないのだけど、Twitterで #私の平成の30冊 というハッシュタグを見つけて興味を惹かれ、人生観・読書観に大きな影響を与えてくれた本30冊を挙げてみた。
自分のルール
- 平成に刊行された本を対象にするが、新約や新装丁などは含めない
- 漫画や写真集などは対象外
- シリーズ物は一冊としてカウントする
1989 ~ 1989
- ムーン・パレス | ポール・オースター(著)、柴田元幸(訳) | 1989
1990 ~ 1999
- ちぐはぐな身体 | 鷲田清一 | 1995
- ハリー・ポッター | J.K.ローリング(著)、松岡佑子(訳) | 1997~
- あなたの人生の物語 | テッド・チャン(著)、公手成幸(訳)、浅倉久志(訳)、古沢嘉通(訳)、嶋田洋一(訳) | 1998
2000 ~ 2009
- キノの旅 | 時雨沢恵一 | 2000~
- 航路 | コニー・ウィリス(著)、大森望(訳) | 2001
- 嘘つきアーニャの真っ赤な真実 | 米原万里 | 2001
- レヴォリューション No.3 | 金城一紀 | 2001
- ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ | 滝本竜彦 | 2001
- ニッポニアニッポン | 阿部和重 | 2001
- 天使 | 佐藤亜紀 | 2002
- マネー・ボール | マイケル・ルイス(著)、中山宥(訳) | 2003
- 太陽の塔 | 森見登美彦 | 2003
- 垂直の記憶 | 山野井泰史 | 2004
- 苔のむすまで | 杉本博司 | 2005
- 走ることについて語るときに僕の語ること | 村上春樹 | 2007
- のはなし | 伊集院光 | 2007~
- ネルーダ事件 | ロベルト・アンプエロ(著)、宮崎真紀(訳) | 2008
- 物語 フランス革命 | 安達正勝 | 2008
- 1Q84 | 村上春樹 | 2009
- 犯罪 | フェルディナント・フォン・シーラッハ(著)、酒寄進一(訳) | 2009
2010 ~ 2019
- HHhH (プラハ、1942年) | ローラン・ビネ(著)、高橋啓(訳) | 2010
- 繁栄 | マット・リドレー(著)、柴田裕之(訳)、大田直子(訳)、鍛原多惠子(訳) | 2010
- ことばと思考 | 今井むつみ | 2010
- きみを夢みて | スティーブ・エリクソン(著)、越川芳明(訳) | 2012
- あの素晴らしき七年 | エトガル・ケレット(著)、秋元孝文(訳) | 2013
- ハリー・オーガスト、15回目の人生 | クレア・ノース(著)、雨海弘美(訳) | 2014
- 10:04 | ベン・ラーナー(著)、木原善彦(訳) | 2014
- 増補 日本語が亡びるとき: 英語の世紀の中で | 水村美苗 | 2015
- ラスト・ウェイ・アウト | フェデリコ・アシャット(著)、村岡直子(訳) | 2016
単なる読書遍歴を超えて、文学理解度の成熟も垣間見えるのが面白い。
2010年代は同時代的な本に可能な限り手を伸ばし、結果として(全てを理解しているとは言い難いのだが)今後何度も読み返していくであろう名著に出会えた。
ほかに考えていた候補としては、小説だと「開かせていただき光栄です」「スプートニクの恋人」「血と暴力の国」。
また写真関係のエッセイも本当は入れたくて、「不完全なレンズで – 回想と肖像」「メモワール 写真家・古屋誠一との二〇年」は今でも頭に残っている本。
最近はめっきり読まなくなってしまったライトノベルでも素晴らしい本に出会えたのは大きく、今でも時々読み返したくなる。
人文系では「サピエンス全史」も迷ったし、ジャンル分けが迷うが「短歌の友人」も印象深い。
どれもこれも不可逆的に自らを形作ってしまったものばかりで、30年というのは本当に長い時間なんだと実感する。
令和も素敵な本に出会えますように。