2024年は自転車ばかり乗っていた。夏にはオーストリアをロードバイクで700km縦断往復する RACA(Race Across Austria)を終えて、高まるウルトラエンデュランス熱のまま、来年はグラベルレースに出よう、と新しい自転車を探していた。

ちょうどよく旧Cannondale Japanの大セールがあり、便乗する形でTopstone Carbon(トップストーンカーボン)を入手した。スポーツ自転車としては人生3台目で初のグラベルバイク。

ドイツにも無事持ってこれて、極寒のハンブルクの中で少しずつ触って乗ってができてきたので、パーツ構成やファーストインプレなど。

パーツ構成

素体は Topstone Carbon4(SMサイズ) 。コンポーネントはフル換装し、リペイントもお願いしてみた。ホイールとハンドルはそのまま。

ドロッパーシートポスト BikeYoke Revive 272

下りが大の苦手で、オーストリアの山越えでもブレーキを多用して、最終的に握力がえらいことになっていた。

サドルの高さを手元から変えられるドロッパーシートポストで長い下りの恐怖心を和らげたい、というのは名目で、単にどんなものか興味があった。

バイクショップに勧めてもらったBikeYoke Reviveはグラベル用で、トラベル量(上下に動く幅)が80 mmでだいぶ余裕がある。

実用面の評価をするには今住んでいる環境が平坦すぎるため、当面は気分転換や足の筋肉を切り替えるのに使うだけ。でもシンプルに楽しいというのは言える。

操作レバーはEnveのG SERIES DROP BAR DROPPER POST LEVERで、引きがとても軽い。

GROWTAC EQUAL レバー

元々ついていたのはGRXの11速、当初から換装しようと思っていた。

手持ちのSupersixと同じくSRAM eTap AXSにする手もあったけど、また同じコンポというのも何だか盛り上がらず。

閃いたのがGROWTAC。EQUALブランドを展開していて、「自転車の民主化」というコンセプトが共感できてずっと使ってみたいと思っていた。(詳しくは ブランドコンセプトのインタビュー記事

EQUALブレーキキャリパーのレビューはよく見かけるものの、コントロールレバーを使っている人はまだ少ない状況で、自分で試してみるかという気持ちでオーダーした。

そもそもGRXのままにしたくなかったのは、Shimano/SRAM共通の「油圧ブレーキ&ワイヤー変速レバー特有のブラケットの頭の出っ張り」が許せなかったせい。

EQUALレバーはスッキリした見た目。過度にギラギラしてないのも大事。エルゴノミックで実用的、端正なデザインだなと思う。

ブラケットの握り心地は、手持ち自転車の中でも一番好きかもしれない。リムブレーキ時代の形に近い気がする。その後SRAM FORCE D2を握るとやけにデカく感じてしまった。逆にSRAM RED 22ほど小さくはないので荒れた路面でも安心感がある。

操作はカンパニョーロと似ていて、内外2つのレバーで変速を行い、ブレーキは独立している。

EQUALレバーは無段階変速のため、「だいたいこの辺かな」という塩梅でレバーを押し込む。慣れるまでは、というかいまだに引きすぎているようで、意図しない多段変速や、ギア間の中途半端な位置で止まってしまう。グラベルの急な登りでのシフトミスはしんどく、インデックスプレート(クリック感を足してくれるオプションパーツ)はやっぱり欲しいところ。

総合的にはとてもとても気に入っている。コンセプトと最終的な質に妥協がなく、よくこんなものがでてきたなぁという気持ち。これからも製品を買って応援したい。

GROWTAC EQUAL ブレーキキャリパー

同じくGROWTACのブレーキキャリパー。海外含め多くの方が言及済み、引きが軽く、輪行でも扱いやすく、おまけに超軽量。あとジュラルミン削り出しのフォルムを嫌いな男性はいないと思う。

制動力も自分にとっては十分以上。ある程度パッドの摩耗が進むとデンジャーゾーンという閾値がありブレーキが効かなくなるため、誰にでも勧められるものではないものの、自転車いじりが好きな人は持っておいて損はないかと。

今後はフロントフォークをCane CreekのInvertに差し替える予定で、その際もワイヤーであれば自分で再配線ができるのが助かる。

Shimano GRX 820

コンポーネントはShimano GRX 820のフロントシングルにした。

ギア構成

  • フロント: 40T
  • リア: 10-51

GRXのクランクアームは近いうちに交換したい。目星をつけているのはXCADEYのスパイダー式パワーメーターとROTOR ALDHUクランク。Shimanoホローテック2対応のクランクアームの選択肢がほとんどないのが悲しい。

実測重量

写真の状態からトップチューブバッグだけ抜いて 10.30kg だった。ちなみにサイズはSM。 変えたら一番影響ありそうなのはホイールかな?

ライドインプレ

12月に開封して、厳冬期のハンブルクの森を走ってきた。

Topstone in Gravel Condition

なんだろう。ロードバイクとは全然違う。子供の頃の自転車の感じというか。スピードとは違う全身を使う楽しさ。短い距離しか走れない日でもちゃんと満足感がある。

車体が今の所フルメカニカルのため、「機械を操っている」感覚と、気軽に持ち出せるオモチャ感が両立していて、とても狙い通り。電動変速だとこうはいかない。実はすでに一度、泥の中で横倒しになってしまった。ロードだと転んだ時点でモチベ0になるけど、グラベルならまだ笑える。

ジオメトリから来る感覚の違いも大きく、Supersix(51サイズ)とTopstone(SMサイズ)ではBBハイトが1.5cmも違っているため、重心が高くクイックで、これが"操る"感覚に繋がっているのかな、と思う。 姿勢もかなりアップライト。乗るたびにハンドルも低くしていて、いつかベタ付けしてしまいそう。

10.3kgの車体を手に持ってみると、7.7kgのSupersixと比べて流石に重い感じはするものの、走っていてネックにはならなかった。グラベルでは軽量よりも快適性を取る方針。

あとはホイールが純正のままのため、ここ変えるとオンロード含めて化けそうな予感。グラベルだとノッチ数が多い方がいい気がしている。

まだまだ実装距離としては屁みたいなものなので、これから暖かくなってくる時期に走り込んで印象は変わるはず。

北ドイツは「Schietwetter」(ひどい天候)いう方言があるくらい雨が多い。また北欧デンマークと接していて緯度が高くシンプルに寒い。なのでここ数ヶ月はZwiftばっかり。

ハンブルクから海に向けて森を繋いで走れたり、南にはMTBエリアもあるようなので、これから開拓していくのが楽しみ。

ドイツへの輸送

ドイツへの持ち込みは、人力でなんとかした。 具体的には、204cm四方(=JALの一般預け入れ荷物規定)に縮めた車体段ボール箱に諸々詰め込み、羽田まで運び、預け入れ荷物追加の20,000円を払って持ってきた。

中々にしんどかった。雑に扱われて新車に傷がつかないよう、新聞・布・あらゆる手段で衝撃緩和収納を作り上げた。税関でなんか言われることも考えて、中古であることを示す写真も撮っておいたり。JALの職員さんは丁寧だったのが救い。

最後に

Topstoneはずっと憧れていた自転車で、モデルチェンジ前の独自規格盛り盛りだった頃も懐かしいけど、今は機能そのままでイジリやすくなった。

今回の購入・ペイント・組み立ては広島のGrumpyさんに依頼。ドイツからメールで事細かに相談して、わがままも聞いていただき、一時帰国時期にも間に合わせてもらった。

ペイントはこちらで大まかなイメージだけ作成し、あとはペインターの方(たけちゃんさん?)のセンスでカバーしてもらった。やっぱりプロってすごいわ。

Cannondale Topstone ペイントイメージ

金額も、この値段でいいの? というくらいリーズナブル。ドイツで同じセットアップで組むのと比べて航空券代くらいは浮いたのでは。

組み付けも丁寧で、開封したあとすぐに走り始められて不具合も一切なし。

おかげで唯一無二のTopstoneになって大満足。Grumpyさんは国内郵送もしてくれるみたい。Youtubeもおもろいのでおすすめです。

今年は Seven SerpentsThe Bright Midnight という2つのグラベルイベントに参加する予定で、カスタムしたいところがまだまだある。あとは夏までにCannondale2台体制でトレーニングをがんばろう。